ダブルミーニングをわかりやすく説明すると
いちばん短く言うと、こうなります。
一つの言葉に、二つの意味を同時に持たせること。
これだけで足りるのですが、これだけだと「ダジャレと何が違うのか」で必ず止まります。 順に説明します。
まず、身近な形から
「掛ける」という言葉を考えてみます。この言葉には、いくつも意味があります。
壁に絵を掛ける … ぶら下げる
保険を掛ける … 契約する
勝負に掛ける … 賭ける
時間を掛ける … 費やす
普段は文脈でどれか一つに決まります。読み手も迷いません。
ダブルミーニングは、この「どれか一つに決まる」を、わざと決めさせません。 二つの意味が両方とも成り立つように文を作ります。
成立しているかどうかの見分け方
ここだけ覚えれば足ります。
片方の意味を消したとき、文が成り立たなくなるか。
◎ 成り立たなくなる → ダブルミーニングとして成立している
✕ どちらも残る → ただ二つのことを言っているだけ
具体例で見てみます。
◎ (保険の案内文として)「その一言に、かけてみませんか」
→ 「賭ける」でも「(保険を)掛ける」でも読める。
どちらか一方を消しても、文はそのまま成立している
✕ 「電話をかけると、腰もかける」
→ 音は重なっているが、前半と後半が別のことを言っている。
片方を削っても、もう片方は困らない = ダジャレ
ダジャレとの違いを一行で
ダジャレ … 音が一致したこと自体が面白い。意味は通らなくてもいい
ダブルミーニング … 二つの意味が両方とも成り立つ。通らないと失敗
ダジャレは音の遊び、ダブルミーニングは意味の重ねです。 仕組みは同じでも、目指しているものが違います。
日本には昔から同じものがある
和歌の**掛詞(かけことば)**が、まさにこれにあたります。
立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む (百人一首 16番・在原行平)
- いなば … 「因幡(地名)」と「往なば(行ってしまったら)」
- まつ … 「松」と「待つ」
千年前から、同じことをしています。 「ダブルミーニング」というカタカナ語が新しいだけで、技法そのものは古いものです。
どこで使われているか
・歌詞(一つのフレーズが、恋の話とも別れの話とも読める)
・キャッチコピー(商品の説明と、生き方の話が重なる)
・商品名・サービス名(名前に別の語が隠れている)
・作品のタイトル(読み終わってから意味が変わる)
気づかなくても読めるのが特徴です。 気づいた人だけが、もう一つの意味を受け取ります。
よくある勘違い
| 勘違い | 実際は |
|---|---|
| 語彙が多いと作れる | 語彙量ではなく、主従を決められるかで決まる |
| 面白い言葉を探す | 面白さを狙うとダジャレ側に寄る |
| 気づいてもらえないと失敗 | 気づかれなくても、文は成立している。それでいい |
| 説明を添えれば伝わる | 説明した時点で価値が消える |
まとめ
- 一つの言葉に、二つの意味を同時に持たせること
- 見分け方は「片方の意味を消したら文が壊れるか」
- ダジャレは音の遊び、ダブルミーニングは意味の重ね
- 和歌の掛詞が同じ技法。千年前からある
- **気づかれなくても文は成立している。**説明を添えると価値が消える