ダブルミーニングの作り方──4つの型

ダブルミーニングは、ひらめきを待つものだと思われています。

実際には入口が4つしかありません。 どの入口から入るかを先に決めると、あとは探すだけの作業になります。


型1:同音(違う語が、同じ音を持っている)

いちばん多い型です。別々の語がたまたま同じ音を共有していることを使います。

かける   賭ける/掛ける/架ける/駆ける
とる     取る/撮る/採る/捕る
あける   開ける/明ける/空ける
まつ     松/待つ

手順

  1. 伝えたい内容から、中心になる動詞・名詞を1つ選ぶ
  2. その語の同音の別語を列挙する(辞書の同音語欄が使える)
  3. 列挙した中に、言いたい内容と方向が合うものがあるか見る
  4. 合うものが無ければ、中心語を別のものに変えて1に戻る

**3で妥協しないでください。**方向が合っていない語を無理に掛けると、 音は重なっても意味が散ります。それが「寒い」と言われる状態です。


型2:多義(一つの語が、もともと複数の意味を持っている)

同音の別語ではなく、同じ語の中に複数の意味があるものを使います。

重い    質量がある/深刻である
甘い    味/判断がゆるい
硬い    物性/融通がきかない
深い    距離/内容が濃い

**型1より上品に見えやすい型です。**音の一致という"仕掛け"が表に出ないからです。

手順

  1. 言いたい内容を、まずそのまま一文で書く
  2. その文の中の形容詞・動詞を、物理的な意味も持つ語に置き換えられないか探す
  3. 置き換えた文が、抽象・物理のどちらで読んでも通るか確かめる

型3:分割(切る位置を変えると別の語になる)

文字列をどこで区切るかで意味が変わる型です。

ここではきものをぬいでください
 → ここで/はきもの/を/ぬいで  /  ここでは/きもの/を/ぬいで

これは古典的な例ですが、実務では商品名・サービス名で使われることが多い型です。 社名や商品名を作るときに、区切りを変えると別の語が現れるように設計します。

手順

  1. 使いたい語をかな・ローマ字に開く
  2. 前後に音を足したり削ったりして、別の切り方が生まれないか試す
  3. 意図しない語が現れないかも同時に確認する(ここが最も事故が起きる

型4:文脈(同じ文が、読む立場によって別の意味になる)

語の多義性を使わず、読み手の立場で意味を変える型です。

「まだ間に合います」
 → 申し込みを迷っている人には【締切前だ】
 → 諦めかけている人には【やり直せる】

**語としては一つの意味しかありません。**それでも二通りに読めます。

4つの型のなかでいちばん応用が利き、いちばん難しい型です。 語の一致に頼れないぶん、文脈の設計そのものが仕事になります。


どの型を選ぶか

用途向いている型
商品名・サービス名・ロゴ型1(同音)・型3(分割)
キャッチコピー・見出し型2(多義)・型4(文脈)
歌詞・詩型1・型2
タイトル型4(文脈)。読了後に意味が反転する形

**迷ったら型2から試してください。**仕掛けが見えにくく、失敗したときの被害が小さいからです。


作ったあとに必ず通す3つの確認

① 片方の意味を消しても、文として成立するか
  → 成立しないなら、まだ"重なって"いない
② 二つ目の意味に、言う価値のある中身があるか
  → 無ければダジャレに落ちる
③ 意図しない三つ目の意味が出ていないか
  → とくに型3。ここを飛ばすと事故になる

③は自分では見つけにくいものです。声に出して読むか、 文脈を知らない人に見せるのが確実な方法です。


まとめ

  • 入口は4つ。同音/多義/分割/文脈
  • 型1(同音)は最も作りやすく、最も失敗が目立つ
  • 型2(多義)は仕掛けが見えないぶん上品に見える。迷ったらここから
  • 型3(分割)は名前づけ向き。意図しない語が出る事故に注意
  • 型4(文脈)は語に頼らない。応用が利くが難度が高い
  • 作ったら3つの確認を通す。とくに三つ目の意味が出ていないか

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