恋愛の場面で使われる二重の意味
「あの言葉には別の意味があったのでは」と考える場面は多いものです。
ただし、そこで起きていることの大半はダブルミーニングではありません。 分けておくと、余計な深読みが減ります。
3つを区別する
| 何が起きているか | 意味の数 | |
|---|---|---|
| ダブルミーニング | 二つの意味が両方とも成立 | 2つ |
| ほのめかし | 一つの意味を、直接言わずに示す | 1つ(言い方が間接的) |
| 社交辞令 | 意味は表のとおり。実行の意思が無い | 1つ |
恋愛の場面で問題になるのは、たいてい下の2つです。
「今度ごはんでも」
→ ダブルミーニングではない。
意味は一つ(食事に行こう)。問題は【実行の意思があるか】だけ
二重の意味を探しても、答えは出ません。 意味は一つで、そこに込められた本気度が読めないだけだからです。
ほのめかしとの違い
ほのめかし … 言いたいことは一つ。直接言うのを避けている
「最近、映画館に行ってないな」= 誘ってほしい
ダブルミーニング … 二つの意味が両方とも本当
ほのめかしは、表の意味が「本題ではない」のです。 だから皮肉との違いで扱った構造に近いものになります。
判定:表の意味を、話し手は本気で言っているか
本気 → ダブルミーニング(両方本当)
違う → ほのめかし(表は口実)
本当にダブルミーニングになっている場合
両方の意味が成立している言い方は存在します。
(自作例)
「この道、意外と長いね」
→ 実際に歩いている道のこと(本当)
→ 一緒にいる時間のこと(これも本当)
→ どちらの意味でも会話が成立する
この形が効くのは、相手が二つ目に気づかなくても困らないからです。 気づかなければ道の話として終わります。踏み込みすぎになりません。
ダブルミーニングが恋愛の場面で使われる理由が、ここにあります。 断られるリスクを負わずに、意思を置いておけるからです。
深読みしすぎる側の問題
意味が一つしかない言葉に、二つ目を探してしまう
→ 見つからないので、無いものを推測で埋める
→ 推測が事実として記憶される
判定は、他の場面と同じで足ります。
片方の意味を消したとき、文が成り立たなくなるか。
「今日は寒いね」
→ 「一緒にいたい」を消しても、文は完全に成立する
→ したがって二重ではない。ただの世間話の可能性が高い
成立するなら、二つ目は元からありません。
使う側の注意
✕ 重要なことをダブルミーニングで伝える
→ 気づかれない前提の技法なので、伝わらない可能性が高い
→ 交際の申し込み・別れ話・謝罪には使わない
(→ 使わないほうがいい場面 の「相手が特定の一人」)
◎ 踏み込みすぎたくない段階で、意思を置いておく
→ これが唯一まっとうな用途になる
一対一の場面で曖昧さは不誠実に見える、と別記事で書きました。 恋愛の場面もこれに含まれます。関係が進んだ段階では、直接言ったほうがよいでしょう。
まとめ
- 恋愛の場面で起きていることの大半はほのめかしか社交辞令。二重ではない
- 「今度ごはんでも」は意味が一つ。問題は実行の意思があるかだけ
- 判定は「表の意味を本気で言っているか」。本気なら二重、口実ならほのめかし
- 本当に二重の場合、効くのは気づかれなくても困らないから
- **重要なことには使わない。**申し込み・別れ話・謝罪は直接言う
- 深読みの判定も同じ。片方を消して文が成立するなら、二つ目は元から無い