ダブルミーニングの例文(自作で作る手順つき)
例文を眺めても、作れるようにはなりません。
作れるようになるのは、自分で1本作ったときです。 そのための手順と、材料になる語のリストを置きます。
材料:掛かりやすい語のリスト
まず、これが要ります。自分で探すより、あるものから始めたほうが早く進みます。
同音の別語(型1の材料)
| 音 | 掛かる意味 |
|---|---|
| かける | 賭ける/掛ける/架ける/駆ける/欠ける |
| とる | 取る/撮る/採る/捕る/執る |
| あける | 開ける/明ける/空ける |
| つく | 付く/着く/突く/就く |
| おさめる | 収める/納める/治める/修める |
| はかる | 計る/測る/図る/諮る |
| かわる | 変わる/代わる/替わる |
| まつ | 松/待つ |
| あき | 秋/飽き/空き |
| うら | 浦/裏/心(うら) |
一語が複数の意味を持つ(型2の材料)
| 語 | 物理的な意味 | 抽象的な意味 |
|---|---|---|
| 重い | 質量 | 深刻さ |
| 甘い | 味 | 判断のゆるさ |
| 硬い | 物性 | 融通のなさ |
| 深い | 距離 | 内容の濃さ |
| 温かい | 温度 | 人柄 |
| 明るい | 光量 | 性格・見通し |
| 遠い | 距離 | 関係の薄さ |
| 締める | 物理的に締める | 区切りをつける |
| 磨く | 表面を磨く | 能力を高める |
| 積む | 物を積む | 経験を重ねる |
型2のリストは、全部「物理 ↔ 抽象」の対になっています。 これが最も安定して機能する組み合わせだからです。
手順:5ステップ
① 言いたいことを、掛けずに一文で書く
例:「この講座は、途中でやめる人が少ない」
**ここで掛けようとしないでください。**まず主張を確定させます。
② その文から、動詞か形容詞を1つ選ぶ
「やめる」を選ぶ
③ 上のリストで、近い語に置き換えられないか探す
「やめる」→「続く」→ 「続く」は多義ではない
→「離れる」→ 物理的にも抽象的にも使える
ここで見つからなければ、②に戻って別の語を選びます。 1つの語に固執しないでください。
④ 両方の意味で読める文に組み直す
「途中で席を立つ人が、ほとんどいません」
物理 … 実際に席を立たない(講義中の話)
抽象 … 途中で降りない(受講を続ける)
⑤ 3つの確認を通す
□ 片方の意味を消しても、文が成立するか
□ 二つ目の意味に、言う価値のある中身があるか
□ 意図しない三つ目の意味が出ていないか
自作例をいくつか
**どれも上の手順で作ったものです。**参考として型ごとに置きます。
【型1 同音】
(引越し業者)「新しい暮らしに、はこびます」
運ぶ/(暮らしが良い方へ)運ぶ
(学習サービス)「その一問に、時間をかけて」
時間を費やす/(賭けるように)その一問に懸ける
【型2 多義】
(寝具)「その眠り、浅くありませんか」
睡眠の深さ/向き合い方の浅さ
(工具)「握りが、手に馴染むまで」
物理的に馴染む/仕事に慣れる
【型4 文脈】
(再受験の案内)「まだ間に合います」
締切前だ/やり直せる
うまくいかないときの戻り方
・掛かる語が見つからない → ②に戻って別の語を選ぶ(語を変えるのが最短)
・掛けたが不自然 → ①の主張が複雑すぎる。もっと短く言い直す
・二つ目に中身が無い → 掛けるのをやめる。この主張には向いていない
「向いていない主張」は実際にあります。 条件が多い内容、正確さが要る内容は、掛けないほうが伝わります (→ 使わないほうがいい場面)。
まとめ
- 例文を眺めても作れるようにならない。1本作ると分かる
- 材料は2種類。同音の別語と物理↔抽象の多義語
- 手順は5つ。掛けずに書く → 語を選ぶ → 置き換える → 組み直す → 確認
- **①で掛けようとしない。**主張を先に確定させる
- 見つからないときは語を変えるのが最短。1つの語に固執しない
- **向いていない主張はある。**掛けない判断も手順のうち