ダブルミーニングと「なぞかけ」の関係
なぞかけは、こういう形をしています。
「Aとかけて、Bととく。そのこころは──Cです」
AとBという無関係な二つを並べ、Cという共通の言葉で結びます。 このCが、二つの意味を持つ語になっています。
つまり**仕組みはダブルミーニングと同じです。**違うのは向きです。
向きが逆になっている
ダブルミーニング … 二つの意味を【隠す】。気づいた人だけが受け取る
なぞかけ … 二つの意味を【開示する】。「そのこころは」で自分から明かす
この差が、そのまま用途の差になります。
| ダブルミーニング | なぞかけ | |
|---|---|---|
| 二つ目の意味 | 隠す | 自分で明かす |
| 気づかれなかったら | 失敗(ただし文は成立している) | 成立しない(オチが無い) |
| 読み手の作業 | 気づく | A・B・Cの関係を確認する |
| 使う場面 | 文章・コピー・名前 | 話芸・座興 |
なぞかけは「明かす」ことが前提なので、隠す技術が要りません。 そのぶん、AとBの距離をどれだけ広げられるかに難度が寄っています。
自作の例で構造を見る
「辞書とかけて、階段ととく。
そのこころは──どちらも【ひく】ものでしょう」
※ 辞書を引く/階段を(線を)引く…はやや苦しい。
これは失敗例として置いている。下の「良し悪し」を参照
もう少し噛み合う形にしてみます。
「引っ越しとかけて、決算ととく。
そのこころは──どちらも【締め】が要ります」
締め(荷造りを締める・締め切り)/締め(決算を締める)
Cの語が両方に自然につながるかどうかが、なぞかけの良し悪しを決めます。 片方に無理があると、その時点で成立しません。
なぞなぞとは別物
混同されやすいので、分けておきます。
なぞかけ … A・B・Cの三点構造。答えを出題者が明かす
なぞなぞ … 問いと答えの二点構造。答えを回答者が当てる
なぞなぞにもダブルミーニングを使ったものはありますが、 構造としては「言葉の多義性を利用した問い」であって、なぞかけとは別の形式です。
実務に持ち帰れること
なぞかけの練習は、ダブルミーニングを作る訓練としてよく効きます。
理由は、なぞかけが**「Cから逆算する」形**になっているからです。
ダブルミーニングを作るとき
→ 言いたい内容がある → 掛かる語を探す(探す範囲が広くて迷う)
なぞかけを作るとき
→ 多義語Cを1つ決める → その2つの意味からA・Bを作る(逆算なので手が動く)
多義語のストックを増やす訓練としては、なぞかけのほうが速く進みます。 そこで貯めた語が、そのままダブルミーニングの材料になります。
まとめ
- 仕組みは同じ。違うのは隠すか、開示するか
- なぞかけは明かすことが前提なので、隠す技術が要らない
- 良し悪しはCの語が両方に自然につながるかで決まる
- なぞなぞとは別物(三点構造か二点構造か)
- なぞかけを作る訓練は、多義語のストックを増やすのに効く