ダブルミーニングは何のために使うのか(効果)

「面白いから」では説明になっていません。

実際に何が起きているのかを分けると、効果は3つあります。 そしてどれにも限界があります。


効果1:字数が半分で済む

いちばん実務的な効果です。

二つのことを別々に書く … 二文が要る
掛ける                … 一文で済む

和歌が掛詞を発達させたのは、31音しか使えなかったからでした (→ 古典の言葉遊びの体系)。

現代でこの効果が効くのは、字数に制約がある場所に限られます。

◎ キャッチコピー・タイトル・商品名・見出し
△ 本文(字数の制約が無いので、掛ける必要が薄い)

本文で使うときは、この効果は期待できません。 だから本文中の掛けは、下の効果2・3を狙うことになります。


効果2:記憶に残りやすくなる

一つの語に二つの意味が結びつくと、思い出す入口が2つになります。

普通の語  … 一つの文脈からしか思い出せない
掛けた語  … どちらの文脈からでも思い出せる

商品名やサービス名で使われるのは、主にこの効果を狙ってのことです。

ただし限界があります。 思い出しやすくなるのは気づいた人だけで、気づかない大多数には効きません。 名前づけで「気づかれなくてよい」と書いたのは、この非対称のためです。


効果3:読み手が「参加」する

いちばん効きますが、いちばん制御できない効果です。

説明された内容   … 受け取るだけ
自分で見つけた内容 … 発見の体験が伴う。印象が強く残る

「うまい」という感想が出るのは、この効果が働いたときです (→ 「うまい」と感じる条件)。

制御できない理由:

・気づくかどうかは読み手次第
・気づかせようとすると、参加が消えて説明になる
 (説明した時点で、この効果は完全に失われる)

つまり**この効果は「狙って確実に出せない」**という性質を持っています。


3つの効果の限界を並べる

効果効く場面限界
字数の節約字数制約のある場所本文では効かない
記憶に残る名前・タイトル気づいた人にしか効かない
読み手の参加どこでも制御できない。説明すると消える

どれも「必ず効く」ものではありません。 だから使わない判断が、同じくらい重要になります。


効果として期待してはいけないもの

誤解されやすいものを挙げておきます。

✕ 説得力が上がる
  → 上がらない。掛けても主張の中身は変わらない
✕ 読みやすくなる
  → 逆。二通りに読める文は、読む負荷がわずかに上がる
✕ 知的に見える
  → 狙いが見えた時点で逆効果になる(→ うまいと感じる条件 の条件4)
✕ 検索で有利になる
  → 無関係。SEOの効果は無い

「掛けたから良くなる」ということはありません。 効果1〜3のどれかが具体的に効く場面でだけ、価値が出ます。


使うかどうかの判断

□ 字数に制約があるか(効果1)
□ 覚えてもらう必要があるか(効果2)
□ 読み手に余裕があるか(効果3の前提)

→ 一つも当てはまらないなら、掛けずに直接書いたほうが強い

「効かない」と分かったあとに残るもの


まとめ

  • 効果は3つ。字数の節約/記憶に残る/読み手の参加
  • 字数の節約は本文では効かない(制約が無いため)
  • 記憶に残る効果は気づいた人にしか働かない
  • 読み手の参加がいちばん効くが、制御できない。説明すると消える
  • 説得力・読みやすさ・SEOには効果が無い
  • 3つのどれも当てはまらないなら、直接書いたほうが強い

関連