絵文字・記号のダブルミーニング
絵文字にも「二つの意味」がある、とよく言われます。
ただし言葉の掛けとは構造が違います。 起きているのは掛けではなく、用法のずれであることが多いのです。
起きているのは掛けではなく「ずれ」
ダブルミーニング … 二つの意味が【両方とも成立する】
絵文字のずれ … 見た目の意味と、実際の用法が【食い違っている】
| 見た目 | 実際の用法 | |
|---|---|---|
| 汗の絵文字 | 汗をかいている | 焦り/苦笑い/恐縮 |
| 手を合わせる絵文字 | 祈り | お願い/感謝/謝罪 |
| 涙の絵文字 | 泣いている | 感動/笑いすぎ |
これは二重ではなく、意味の移動です。 用法が定着すると、見た目のほうの意味は使われなくなります。
本当の二重になる場合:世代・文化で用法が違う
同じ絵文字を、送り手と受け手が別の意味で受け取る場合です。
これは【意図しない二重】であって、掛けではない
→ [誤解を生むとき](/gokai/) で扱った事故と同じ構造
・世代によって用法が違う
・国・文化圏によって意味が違う(手のジェスチャーは差が大きい)
・プラットフォームによって見た目のデザインが違う
3つ目が、絵文字固有の問題です。 同じコードの絵文字でも、端末やアプリによって絵が違います。 送り手が見ている絵と、受け手が見ている絵が違うことがあります。
意図的に二重にできるか
できますが、範囲が狭いのが実情です。
◎ 文章と絵文字で別の意味を持たせる
→ 文は丁寧、絵文字は砕けている(温度差を作る)
→ これは[漫画](/shousetsu/)の「絵とセリフで別の意味」と同じ手法
△ 絵文字単体で二重にする
→ 受け手の解釈に委ねる部分が大きすぎて、制御できない
絵文字単体での掛けは、狙って成立させにくいものです。 言葉と違って、意味が固定されていないためです。
記号のほうは事情が違う
記号は用法が比較的固定されています。
()… 補足/小声/心の声
「」… 引用/強調/皮肉(これが二重に働く)
… … 沈黙/余韻/言いよどみ
! … 強調/驚き/怒り
「」(カギカッコ)が、最も二重に働く記号です。
「頑張って」ください
→ 引用として読める
→ 皮肉として読める(言葉を距離を置いて扱っている)
これは皮肉との違いで扱った構造にあたります。 カギカッコを付けた瞬間、その語を本気で言っていないという含みが出ることがあります。
実務での注意
✕ ビジネスの文章で、意味の定まらない絵文字を使う
→ 世代差・文化差で受け取られ方が変わる。事故の元になる
✕ 「」で語を囲んで、皮肉の含みを出す
→ 意図していなくても、そう読まれることがある
→ 強調したいだけなら太字を使う
◎ 温度差を作る目的で、限定的に使う
まとめ
- 絵文字で起きているのは掛けではなく用法のずれ(意味の移動)
- 本当の二重になるのは世代・文化・プラットフォームで解釈が違うとき。これは事故
- 絵文字固有の問題=端末やアプリで見た目のデザインが違う
- 意図的にやるなら文章と絵文字で温度差を作る。単体での掛けは制御できない
- 記号では**「」が最も二重に働く**。引用にも皮肉にもなる
- ビジネス文書では**「」で語を囲まない**。強調なら太字を使う