中国語・韓国語にもダブルミーニングはあるか
どちらにもあります。 ただし成立の条件が日本語とは違います。
言語ごとに「音がどう重なるか」の仕組みが違うので、 できる掛けの種類も変わってきます。
中国語:声調があるぶん、条件が厳しい
中国語には声調(音の高低のパターン)があります。
同じ音でも、声調が違えば別の音として区別される
→ 日本語より「完全な同音」が成立しにくい
そのぶん、声調まで一致した同音が見つかると、強く効きます。
諧音(かいおん/xiéyīn)
中国語で音の一致を使う言葉遊びを指す語です。
文化として深く根付いている領域がある
・数字の語呂(縁起の良し悪しを音で判断する)
・贈り物の慣習(音が別の言葉と重なる品物を避ける/選ぶ)
日本語の「4=死」と同じ発想が、中国語ではより広い範囲で働いています。 音の重なりが実生活の判断に影響するという点で、 言葉遊びの枠を超えている面があります。
具体的な事例は、典拠を確認できたものだけを扱います。 慣習には地域差があり、断定すると誤りになりやすいからです。
韓国語:同音異義が非常に多い
韓国語は漢字語の比率が高く、かつハングルで表記します。
漢字語が多い → 同音異義語が生まれやすい(日本語と同じ理由)
ハングルで書く → 漢字で書き分けられない
→ 表記でも同音のままになる
日本語と決定的に違うのが、ここです。
| 日本語 | 韓国語 | |
|---|---|---|
| 同音異義語 | 多い | 多い |
| 表記で区別 | ◎ 漢字で書き分ける | ✕ ハングルなので同じ表記 |
→ 韓国語では、同音異義が【表記でも重なったまま】になる
→ 文脈でしか区別できない
→ 掛けが作りやすい一方で、意図しない二重も起きやすい
日本語の型3(分割)に近い状況が、 同音の語すべてで起きていると考えるとよいでしょう。
三言語を並べる
| 日本語 | 中国語 | 韓国語 | |
|---|---|---|---|
| 同音の作られやすさ | ◎ | △ 声調が区別する | ◎◎ |
| 表記で区別できるか | ◎ 漢字 | ◎ 漢字 | ✕ ハングル |
| 音だけで掛ける(型1) | ◎ | ○ | ◎◎ |
| 表記で掛ける | ◎ 漢字の当て分け | ○ | ✕ |
| 分割で掛ける(型3) | ◎ 分かち書きが無い | ○ | △ 分かち書きがある |
日本語は「音でも表記でも掛けられる」という点で、条件が最も広い言語です。 漢字とかなを併用し、分かち書きをしないという組み合わせによるものです。
翻訳したときに起きること
日本語 → 中国語・韓国語 でも、掛けは消える
→ 音が変わるため(→ 英語のとき と同じ)
ただし漢字語は意味が残る
→ 「重い(質量/深刻)」のような【型2(多義)】は、
漢字が共通していれば意味の重なりも残ることがある
型1(同音)は消えます。型2(多義)は残ることがあります。 これは英語への翻訳と違う点です(英語は漢字を共有していないためです)。
まとめ
- どちらにもある。ただし成立の条件が違う
- 中国語は声調があるぶん完全な同音が成立しにくい。諧音という語がある
- 中国語では音の重なりが贈り物の慣習など実生活に影響する領域がある
- 韓国語は漢字語が多く、ハングルなので表記でも区別できない
- 韓国語は掛けが作りやすい一方、意図しない二重も起きやすい
- 日本語は音でも表記でも掛けられるという点で条件が最も広い
- 翻訳では型1(同音)は消えるが、型2(多義)は漢字を通じて残ることがある