地名や駅名に残る言葉の重なり
地名を見ていると、ダブルミーニングの言葉遊びのように、別の言葉が重なって見えることがあります。
ただしこの話題には、扱い方の注意が先に立ちます。 そこから書きます。
先に:地名の由来は断定できない
地名の語源は、ほぼすべてに諸説がある
・文献に残っていないものが大半
・当て字が後から付けられ、元の意味が失われている
・地元の言い伝えと学術的な説が食い違うことも多い
→ このサイトでは地名の由来を断定しない。
「そう言われることがある」までに留めるか、
自治体・研究機関の資料を典拠として示せるものだけを扱う
(ng-rules.md 6章「数字を書くなら出典を持つ。持てないなら書かない」)
さらに、その土地に住む人が読みます。 語呂が悪いことを面白がるような書き方は、実害が出るのでしません。
重なりが起きる3つの仕組み
由来を断定せずに書けるのは、構造の話です。
1. 当て字による重なり
元は音だけの地名に、後から漢字が当てられたものです。
・地形や自然を指す古い音に、意味の異なる漢字が当てられる
・結果、漢字の意味と、元の音が指していたものがずれる
→ 現代人が読むと、漢字のほうの意味に見える
これは意図されたダブルミーニングではありません。 時間が作った偶然の重なりです。
2. 同音の地名が別の場所にある
・同じ読みの地名が、離れた場所に複数存在する
→ 会話の中で、どちらか分からなくなる
これは二重の意味ではなく、単なる曖昧さです (→ 対義語は何か の「曖昧」の項)。
3. 現代語と同じ音になった
古い地名が、現代語のある単語と同じ音を持っている場合です。
→ 元の地名の意味とは無関係に、現代語のほうの意味が浮かぶ
→ 駅名の看板を見て思わず二度見する、という現象がこれ
これが「地名のダブルミーニング」と呼ばれているものの正体です。 掛けたのではなく、時間の経過で重なってしまったものです。
意図的に作られた重なり:新しい地名・駅名
近年つけられた地名や駅名には、意図が入っているものがあります。
・再開発地区の名前
・新設された駅の名前
・自治体の合併でできた名前
これらはネーミングと同じ設計対象です。
実際に、命名の際には以下が検討されている(一般的な手順として)
・読み間違えられないか
・別の意味に取られないか
・既存の地名と紛れないか
→ 型3(分割)の事故確認と、まったく同じ工程になる
実務に持ち帰れること
教訓1:時間が経つと、意図しない重なりが生まれる
→ 商品名・サービス名も同じ。命名時に無かった意味が後から生まれる
→ どんなに確認しても、将来の重なりは防げない
教訓2:由来の説明は、思っているより難しい
→ 「この名前にはこういう意味があります」と言うとき、
それが検証できる主張かを確かめる
→ 自社の商品名なら検証できる(自分で決めたから)。
他人の名前の由来は、たいてい検証できない
このサイトで地名を扱う範囲
◎ 扱う … 重なりが起きる【仕組み】の説明
◎ 扱う … 自治体・研究機関の資料を典拠にできる個別の例
△ 慎重に … 新しい地名・駅名の命名意図(公表されているものに限る)
✕ 扱わない … 由来の断定
✕ 扱わない … 語呂が悪いことを面白がる形での列挙
まとめ
- **地名の由来は断定できない。**ほぼすべてに諸説がある
- 重なりの仕組みは3つ。当て字/同音の別地名/現代語と同じ音になった
- 「地名のダブルミーニング」の正体は、時間が作った偶然の重なり
- 新しい地名・駅名は意図的な設計対象。ネーミングと同じ工程を通る
- 教訓:命名時に無かった意味が、後から生まれる。将来の重なりは防げない
- その土地の人が読む。語呂を面白がる書き方はしない