キャッチコピーにダブルミーニングを使う
キャッチコピーは短いものです。だから二つ目の意味を仕込む余地が、文章より狭くなります。
そのぶん、置く場所と捨てる判断が、そのまま結果になります。
短さが効く方向にも、殺す方向にも働く
効く方向 … 一文しかないので、読み手が全体を一度に見る。
二つの読みが同時に立ちやすい
殺す方向 … 文脈を作る余地が無い。
二つ目の意味を呼び出す助走が取れない
この二つを分けるのは、コピーの外に文脈があるかどうかです。
✕ コピー単体で二つ目を発火させようとする
→ 助走が無いので、ほぼ気づかれない
◎ 商品名・写真・置かれる場所が、すでに文脈を作っている
→ コピーはその上に一言だけ載せればいい
キャッチコピーのダブルミーニングは、コピー単体の仕事ではありません。 周りが文脈を作っていることを前提に設計します。
置く位置は「文末」
文章と同じで、二つ目の意味は文脈が積み上がってから発火します。 一文しかなくても、この順序は変わりません。
✕ 「かけがえのない、その一杯を」
→ 冒頭で掛けている。読み手はまだ何の話か知らない
◎ 「その一杯に、時間を 」
→ 最後の語に掛ける。前半で文脈が出来ている
掛けたい語を文末に持ってこられるよう、語順のほうを組み替えてください。 掛ける語が決まってから語順を考えるのでは、たいてい間に合いません。
捨てる判断のほうが重要になる
コピーは短いので、掛けた瞬間に他の要素が押し出されます。
一文に載せられるもの … おおむね1つ
ダブルミーニングを載せる … その1枠を使い切る
つまり、掛けるという判断は「他のことを言わない」という判断でもあります。
確認:掛けた結果、いちばん言いたいことが言えているか
→ 言えていないなら、掛けるのをやめて直接書いたほうが強い
「うまいコピー」と「効くコピー」は別物です。 掛けたことに満足して、伝えるべきことが落ちている例は多いものです。
広告表現として越えてはいけない線
ダブルミーニングは二つの読みを許す技法なので、 広告に使うときは注意が要ります。
✕ 一方の読みが【事実と違う】場合
→ 読み手がそちらで受け取ると、優良誤認・有利誤認になりうる
「二つ目の意味のつもりだった」は通らない
✕ 打消し表示を二つ目の意味で吸収させる
→ 条件や制限を、掛けた表現でぼかすのは避ける
◎ どちらの読みでも、事実として正しい
景品表示法の考え方では「一般消費者がどう受け取るか」が基準になります。 書き手の意図ではありません。 二通りに読めるということは、意図しない側で受け取られうる、ということでもあります。
これは技法の限界であって、直し方は一つしかありません。 一方の読みが事実と違うなら、そのダブルミーニングは使わないことです。
使わないほうがいい場面
・条件や制限のある商品(料金・期間・対象者)
・安全性・効果に関わるもの
・読み手が不安な状態で読むもの
→ 二重の意味を解く余裕が無い。ストレートに書いたほうが届く
まとめ
- キャッチコピーの掛けはコピー単体の仕事ではない。周りが文脈を作っている前提で組む
- 位置は文末。掛ける語を文末に置けるよう、語順のほうを組み替える
- 掛けるという判断は「他のことを言わない」という判断でもある
- どちらの読みでも事実として正しいこと。一方が事実と違うなら使わない
- 条件つきの商品・不安な読み手には使わない。直接書いたほうが届く